日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
原著
地域包括ケアシステム構築において保健所保健師が行う市町村支援とその意図
松島 美穂都筑 千景大川 聡子安本 理抄
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2023 年 26 巻 2 号 p. 4-12

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抄録

目的:地域包括ケアシステム構築において保健所保健師(以下,県保健師)が行う市町村支援とその意図を明らかにすること.

方法:地域包括ケアシステム構築に関する保健師活動を行ったことのある県保健師9人に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.

結果:県保健師の意図ごとに集約したカテゴリーは【市町村の特性に合う支援方法の検討材料を揃えるために市町村と関係機関の内情をつかみにいく】等,支援方法の検討を意図した支援,【市町村が地域包括ケアシステム構築しやすい環境をつくるために地域の現状をみえる化して関係機関と共有する】等,市町村の負担を軽くすることを意図した支援,【関係機関に市町村が取り組みの主体だと認識してもらえるように働きかける】等,市町村の主体性を育むことを意図した支援,【保健所にしかできない役割を果たすために,保健所の機能を生かして市町村を支援する】等,保健所の立場を生かすことを意図した支援の12カテゴリーであった.

考察:県保健師は,多機関へ調整し,市町村をエンパワメントし,リーダーシップを発揮することで役割を果たしていた.県保健師は複数の市町村のニーズにこたえるためにつかんだ内情とデータから方策を検討し,県保健師の思考と地域を視覚化し共有することを意図して支援を展開していると考える.

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