日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
26 巻, 2 号
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原著
  • 松島 美穂, 都筑 千景, 大川 聡子, 安本 理抄
    2023 年 26 巻 2 号 p. 4-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/29
    ジャーナル フリー

    目的:地域包括ケアシステム構築において保健所保健師(以下,県保健師)が行う市町村支援とその意図を明らかにすること.

    方法:地域包括ケアシステム構築に関する保健師活動を行ったことのある県保健師9人に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.

    結果:県保健師の意図ごとに集約したカテゴリーは【市町村の特性に合う支援方法の検討材料を揃えるために市町村と関係機関の内情をつかみにいく】等,支援方法の検討を意図した支援,【市町村が地域包括ケアシステム構築しやすい環境をつくるために地域の現状をみえる化して関係機関と共有する】等,市町村の負担を軽くすることを意図した支援,【関係機関に市町村が取り組みの主体だと認識してもらえるように働きかける】等,市町村の主体性を育むことを意図した支援,【保健所にしかできない役割を果たすために,保健所の機能を生かして市町村を支援する】等,保健所の立場を生かすことを意図した支援の12カテゴリーであった.

    考察:県保健師は,多機関へ調整し,市町村をエンパワメントし,リーダーシップを発揮することで役割を果たしていた.県保健師は複数の市町村のニーズにこたえるためにつかんだ内情とデータから方策を検討し,県保健師の思考と地域を視覚化し共有することを意図して支援を展開していると考える.

研究報告
  • 田中 裕子
    2023 年 26 巻 2 号 p. 13-22
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/29
    ジャーナル フリー

    目的:北海道胆振東部地震の活動経験に基づき,地域包括支援センターの保健師がとらえた減災に有用な平常時の活動内容を明らかにすることを目的とした.

    方法:発災前から発災後に至るまで地域包括の保健師として従事していた13人に「発災前の普段の活動で減災に有用であった活動はなにか」「胆振東部地震を経験して,今後取り組む必要がある減災に有用な普段の活動はなにか」等,半構造化面接を実施し,質的帰納的分析を行った.

    結果:減災に有用だととらえていた平常時の活動は,【高齢者の減災の視点で地域をとらえる】【高齢者の減災に向けて自助と共助を育む】【高齢者の介護予防と減災を連動させて活動を展開する】【発災時にハイリスクとなる高齢者の安全を守る手段を講じる】【高齢者支援を基盤に地域で災害対策に取り組む】【行政の災害対策を推進する体制を構築する】【災害対策を行うために地域包括の活動体制を整備する】であった。

    考察:減災に有用だととらえていた平常時の活動は,地域包括ケアシステムを構築する日常業務を基盤に高齢者の減災へ連動させる活動,災害対策を推進する地域包括の活動体制を構築する活動であった.地域包括の保健師は,高齢者が確実に避難できるよう減災に向けた自助,共助,公助による地域づくりを推進し,厳冬期の避難所運営など,高齢者の災害関連死や二次被害を予防するために行政と課題を検討することが重要である.

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