日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
北海道胆振東部地震における地域包括支援センター保健師の活動経験に基づく減災に有用な平常時の活動
田中 裕子
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2023 年 26 巻 2 号 p. 13-22

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抄録

目的:北海道胆振東部地震の活動経験に基づき,地域包括支援センターの保健師がとらえた減災に有用な平常時の活動内容を明らかにすることを目的とした.

方法:発災前から発災後に至るまで地域包括の保健師として従事していた13人に「発災前の普段の活動で減災に有用であった活動はなにか」「胆振東部地震を経験して,今後取り組む必要がある減災に有用な普段の活動はなにか」等,半構造化面接を実施し,質的帰納的分析を行った.

結果:減災に有用だととらえていた平常時の活動は,【高齢者の減災の視点で地域をとらえる】【高齢者の減災に向けて自助と共助を育む】【高齢者の介護予防と減災を連動させて活動を展開する】【発災時にハイリスクとなる高齢者の安全を守る手段を講じる】【高齢者支援を基盤に地域で災害対策に取り組む】【行政の災害対策を推進する体制を構築する】【災害対策を行うために地域包括の活動体制を整備する】であった。

考察:減災に有用だととらえていた平常時の活動は,地域包括ケアシステムを構築する日常業務を基盤に高齢者の減災へ連動させる活動,災害対策を推進する地域包括の活動体制を構築する活動であった.地域包括の保健師は,高齢者が確実に避難できるよう減災に向けた自助,共助,公助による地域づくりを推進し,厳冬期の避難所運営など,高齢者の災害関連死や二次被害を予防するために行政と課題を検討することが重要である.

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© 2023 一般社団法人 日本地域看護学会
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