日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
原著
就労介護者の仕事と家庭役割間の葛藤と就労継続への意思との関連
深山 華織河野 あゆみ
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2023 年 26 巻 3 号 p. 13-20

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抄録

目的:わが国では,家族の介護を理由とした離職者が増加し,介護者が就労継続できるための支援体制の構築が課題である.そこで本研究では,就労介護者の仕事と家庭役割間における葛藤と就労継続への意思との関連を明らかにする.

方法:対象者は就労介護者3,000人とした.郵送で無記名自記式調査を実施し,696人(有効回答率23.2%)を分析対象とした.調査内容は,基本属性や仕事とワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC)尺度(WIF:仕事から家庭への葛藤,FIW:家庭から仕事への葛藤),退職・転職・就業形態変更への意思とした.

結果:対象者の平均年齢は57.2(SD=8.8)歳で,女性が79.3%であった.退職,転職,就業形態変更の意思がある者は,それぞれ36.2%,24.4%,41.4%であった.ロジスティック回帰分析の結果,WIF高群は低群より,退職の意思(OR=1.57,95%CI=1.09~2.27),転職の意思(OR=2.25,95%CI=1.47~3.45),就業形態変更の意思(OR=2.84,95%CI=1.97~4.10)があった.また,FIW高群は低群より退職の意思(OR=1.52,95%CI=1.06~2.17),転職の意思(OR=2.37,95%CI=1.57~3.58),就業形態変更の意思(OR=2.14,95%CI=1.51~3.04)があった.

考察:WFCが高い就労介護者は離職意思があり,就労継続が困難となる可能性があることが示唆された.

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© 2023 一般社団法人 日本地域看護学会
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