日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
市町村保健師の職業的アイデンティティとその関連要因
川端 泰子千田 みゆき山路 真佐子菊池 チトセ
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2025 年 28 巻 1 号 p. 4-12

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抄録

目的:市町村保健師の職業的アイデンティティを高めるための示唆を得るために,その関連要因を明らかにする.

方法:関東地方6県の保健所を有さない市町村に勤務している保健師を研究対象に,質問紙調査を実施した.調査内容は,「行政保健師の職業的アイデンティティ尺度」,個人的要因,外的要因および身体的・心理的要因である.36自治体から協力が得られ,調査票400部を送付した.2変量解析ののち,重回帰分析(ステップワイズ法)を実施した.

結果:回収数195部(回収率48.8%)のうち180部(有効回答率92.3%)を分析対象とした.尺度の平均点は134.9点(標準偏差19.3),自由度調整済みR2=0.469であった.重回帰分析の結果,「保健師活動に対するモチベーションが高い」「保健師としての信念がある」「職位」「配偶者の有無」「生活全般に満足している」の5項目で有意な関連がみられた.

考察:市町村保健師の職業的アイデンティティは,業務の振り返りや研修をとおしてモチベーションや信念を高めること,さまざまな人との関わりのなかで自己成長をしていくこと,職責を果たし自身の生活が充実していることで職業とそれ以外の生活双方が一体化した生活であると思えることにより高まると推察された.

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