目的:市町村の発達支援担当保健師がとらえた発達障害児者の家族を支援するうえでの課題について明らかにする.
方法:対象は発達支援を担当している市町村保健師11人である.発達障害児者の家族を支援するうえでの課題を半構造的面接法でデータを収集し質的記述的に分析した.
結果:6のカテゴリーを生成した.【家族の困り感や受容の段階に応じて支援を進める難しさがある】という家族を直接支援するうえでの課題に加え,【専門職・専門機関等の社会資源の不足を補いきれない】【家族と関係者との意思疎通を補う必要がある】【周囲の人々からの支援が得られにくい状況がある】【成人期以降にわたる包括的な家族支援を機能させることに難しさがある】【連携体制構築の難しさがある】といった支援環境を保障するうえでの課題があった.
考察:保健師は直接的支援や間接的支援を通じて,社会資源の不足,家族と関係者の意思疎通の課題等に加えて,成人期以降にわたる包括的な家族支援を課題と認識していた.発達障害児者の家族支援には,関係者への現任教育や専門的支援,周囲の人々からの支援も含めた連携体制構築の必要性が示唆された.