目的:研究者が作成した看護モデル案(モデル図と説明文から成る)について,保健師活動の成り立ちを説明するとともに保健師の思考を支援するモデルとしての適切性と課題を検討する.
方法:研究者が作成した看護モデル案を用いて,保健師が自身の活動を説明したり今後を検討したりできるかの検討会を行う.検討会での検討内容に基づいて研究者間で看護モデル案を検討する.研究者間の検討内容の記録を箇条書きに整理したものをデータとし,意味内容の類似性に沿って分類整理する.
結果:検討会は計16人の保健師が参加し,看護モデル案を使って11の活動事例についてこれまでの経過を整理し,うち,3つの活動事例は今後の活動も検討した.研究者間の看護モデル案についての検討内容は,105件のデータがあり,「保健師の行動と保健師の頭の中のつながりを明確にする必要がある」「図に描くことにより,2者関係の状況,保健師の意図,仕組みの成り立ちなどのこれまでと現状がわかる」等31項目,さらに8大項目に整理された.
考察:作成した看護モデル案は,保健師の意図や判断,行動,その結果としての人と人とのつながりの変化を図示して検討でき,保健師活動の成り立ちの説明と保健師の思考の支援は可能である.しかし,保健師活動の成り立ちをより明確に説明する意味からも,保健師活動の対象,方法等についてのモデルにおける考え方の整理は課題である.