抄録
目的:保健室に訪れる児童生徒の健康問題は,病気やけがばかりではなく多様で,重症度・緊急度もそれぞれが個別で異なっている.保健室の養護教諭は,1名配置が原則であるが,30学級以上の大規模校と教育等の困難校は2名配置になっている.したがって,養護教諭は保健室に訪れた児童生徒には1人で対応するので,訪室する他の者にも同時に並行して観察しながらの対応をしている.そこで,養護教諭は,保健室を訪れる児童生徒にはどういう情報を得て判断をし,対応しているか,養護教諭が捉えている児童生徒の健康問題の視点および養護診断過程について明らかにしたいと考えた.方法:観察調査.観察内容:保健室の場で,訪れた児童生徒に養護教諭が対応する場面.調査時期:1998年5〜9月(休業日は除く).調査校:H県,公立の小・中・高等学校,計10校(うち,養護教諭2名配置は3校).結果:養護教諭は,児童生徒が保健室に入って来る状態も情報に入れて,「傷病の有無」と健康レベルを観察し,教育面と医療面の2領域で即時に判断をし,その時々の場の重症度,緊急度の高いほうから対応していることがわかった.