日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
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阪神・淡路大震災被災高齢者の生活力量に関する研究 : 被災4年半後の恒久住宅における一人暮らし高齢者の生活から
中山 貴美子
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2002 年 4 巻 1 号 p. 69-75

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抄録
本研究の目的は,恒久住宅で一人暮らしをしている阪神・淡路大震災の被災高齢者の,被災4年半後の生活力量を構成する要素を明らかにすることである.10名を対象に半構造化面接を実施した.分析は,質的・帰納的方法にて行った.その結果,被災高齢者の生活力量の要素として,「被災体験を受け入れる」「すべてにあきらめをつける」「被災者同士のつながりと助け合い」「被災地の社会資源を利用する」「被災体験の気晴らし行動をとる」「恒久住宅での生活を受入れる」の6つのカテゴリーが明らかになった.被災4年半後の被災高齢者の特徴として,あきらめをつける,震災体験を受入れる等の生活力量がみられた.また,彼らは被災者同士の仲間意識をもち,社会資源を利用し,助け合いを行っていた.看護職は,被災高齢者の生活力量に着目することが必要であり,力量が発揮できるように,社会資源等の地域の条件を整えていく役割がある.
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© 2002 一般社団法人 日本地域看護学会
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