抄録
本研究の目的は,保健師ら地域ケア専門職が要介護状態になることを予防する必要のある対象を包括的にアセスメントでき,かつ高齢者自身が自分で健康長寿を阻害する要因を簡便にチェックできるツールを作成することであり,今回はその試案作成を目的とする.研究方法は,まず包括的項目収集を目的として保健師8名へのグループインタビューと文献検討を行った.得られた項目は保健師と研究者により精選した後,経験年数5年以上の保健師(有効回答137)に各項目の重みづけと内容妥当性等を問う調査を行った。その結果,(1)主体的な健康づくり,(2)からだの調子,(3)普段の暮らし方,(4)社会との交流・活動,(5)住まいと周辺の環境,(6)家庭の事情,(7)身の回りや気持ちの変化,(8)支援者とサービス利用,の8カテゴリー50項目からなる介護予防アセスメントツール試案が作成された.ツールに含まれた項目は,既存のアセスメントツールにはない地域看護の専門的視点,すなわち高齢者自身の主体的な健康づくりや生活リズム,ライフイベンツに関する項目が含まれていた.今後は,アセスメントの判断基準と,結果の保健師活動への活かし方についてさらに検討する必要がある.