抄録
本研究の目的は,介護予防事業の1つである生活支援デイサービスに参加している高齢者の自己効力感評価指標を作成することである.方法:F県内2地域の生活支援デイサービス参加者16名に対し,フォーカスグループ・インタビューを実施し,Banduraの4つの情報源に基づいて,自己効力感項目を抽出した.この抽出した自己効力感項目と一般性セルフエフィカシー尺度をF県およびH県内の生活支援デイサービス参加者103名を対象に実施し,因子構造は因子分析で確認,信頼性はCronbach α係数,基準関連妥当性は一般性セルフエフィカシーとの相関係数で分析し,信頼性・妥当性の検証を行った.結果:フォーカスグループ・インタビュー内容の分析から得られた自己効力感23項目について,因子分析を行った結果,因子負荷量0.5未満の6項目および設問内容の表現が類似していると思われるものを除くと16項目となった.16項目のCronbach α係数は0.92であり,基準関連妥当性を一般性セルフエフィカシー尺度との相関係数をみると,r=0.54(p<0.05)で有意な正の相関はみられた.これらの検討を行った結果,自己効力感評価指標は16項目となり,この16項目について,因子分析を行った結果,第1因子7項目「生活維持の効力感」と第2因子9項目「生活活性化の効力感」の2因子に分けられた.