抄録
本研究の目的は,産業保健師のヘルスプロモーションに向けた働きかけの分析から,保健師の働きかけの展開方法を探ることである.方法は,T社保健師の26年間の働きかけを既存資料および面接調査から質的に分析し,働きかけの内容コードを用いて,活動方法と経年的な変化を分析した.T社の結果を地域における先駆的保健活動として報告された事例と比較し検討した.T社保健師の働きかけから427件の内容コードを抽出し,ヘルスプロモーションの5つの活動方法別では26項目の小項目が抽出できた.経年的にみると,個別ケアから集団的アプローチ,組織への働きかけへと広がり,組織には組織全体を動かす組織と,個を取り巻く組織の2方向への働きかけが確認できた.これらの働きかけから,リーダーが育成され,リーダーが変化してくるとともに,保健師の働きかけはリーダーとの協働へ,さらにリーダーの影響を受けた人々の変化とともに,保健師の働きかけは人々の相互作用を促す働きかけへと広がりがみられた.これらの働きかけには地域との共通性が認められ,社員や社会のニーズを汲み上げ,国の対策とも連動しながら,個人,組織への働きかけへと具現化してきた過程と考えられ,活動の展開モデルとして提示できた.