日本地域看護学会誌
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行政機関に働く保健師の専門職務遂行能力の発達 : 経験年数群別の比較
佐伯 和子和泉 比佐子宇座 美代子高崎 郁恵
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2004 年 7 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

行政機関に働く保健師の専門職務遂行能力の発達の実態を明らかにすることを目的とした.4県の行政機関の保健師3,024人を対象に質問紙による郵送調査を行い,1,829人の回収のうち有効回答1,614人(53.4%)の分析を行った.専門職務遂行能力は,「対人支援能力」(個人家族支援,方法としての集団支援)と「地域支援および管理能力」(地域活動,施策化,管理教育)で構成される尺度を用い,自己評価により測定した.保健師の専門職務遂行能力の自己評価は,経験とともに高くなっていた.「対人支援能力」は新任期に大きく伸び,中堅期以降は緩やかな発達であった.「地域支援および管理能力」のうち,地域活動は「対人支援能力」と同様な発達傾向を示し,施策化および管理教育は経験とともにほぼ緩やかな発達を続けていた.自己評価は,「対人支援能力」の項目が「地域支援および管理能力」の項目よりも高かった.新任期,前期中堅期,後期中堅期,ベテラン期の比較では,4群間に有意な差が認められた.以上のことから,保健師の専門職務遂行能力の発達の実態に基づき,段階を追った継続教育のプログラムとして,「対人支援能力」は新任期に,「地域支援および管理能力」のうち施策化は後期中堅期に重点が置かれることが適切と考えられた.

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© 2004 一般社団法人 日本地域看護学会
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