日本地域看護学会誌
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地域の健康課題を中心とした地域看護実習の有効性(地域看護活動報告)
齋藤 茂子小田 美紀子落合 のり子
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2005 年 8 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

地域看護実習において保健師学生が体験する地域保健医療福祉活動が多様化し,広範囲にわたるようになった.多様性のある地域看護活動を健康課題を中心に体系化することにより,学生の理解を図る地域看護活動モデルを開発し,その有効性について検討した.S看護短期大学地域看護学専攻,2002年度および2003年度の修了生を対象に,就学時の地域看護実習記録に記載された実習体験内容と実習目標達成度自己評価結果を分析した.その結果,学生が実習で体験した地域保健医療福祉活動の内容は,小分類96項目,中分類21項目,大分類7項目に分類された.地域の人々の生涯にわたる健康づくりの体験が,各年度ともに全体験内容の7割弱を占めた.なかでも中分類の子育て支援,老人保健事業・健康日本21,障害児・者支援の項目は,小分類数が多かった.また,実習目標達成度自己評価結果は,以下の3つの目標の達成度が低い傾向にあった.(1)保健医療福祉活動を行う行政組織と財政基盤について理解する,(2)環境に関する課題や対策について考察する,(3)保健師の力量形成のための職場づくりを考察する.以上の結果から,実習前に強化できる学習課題,実習では体験し難い学習課題を明らかにした.また,学生が実習で体験した地域の保健医療福祉活動の体験内容を分類する過程において健康課題を中心とした地域看護活動モデルを開発した.

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© 2005 一般社団法人 日本地域看護学会
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