日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
家族介護者の介護体験の内容と認識の肯定的側面
安田 貴恵子北山 三津子嶋澤 順子森 仁実御子柴 裕子酒井 久美子菱田 一恵和光 由起
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2005 年 8 巻 1 号 p. 88-93

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抄録

介護の実施途上にある介護家族の介護体験内容と認識の肯定的側面を捉えて,その内容から介護体験を通して何かを得ることを促すという視点から援助を考察する.方法は,現在の介護内容と経過,介護開始後の困難の内容と対処方法,現在の困難の内容と対処方法,家族員の協力状況とそれに対する認識,介護対象者に対する受けとめおよび介護することに対する受けとめを質問項目とする半構成面接を行ってデータを収集した.面接の過程では介護者が語る内容を注意深く聞き,介護者が意図していることや込めている思いを推察して対象者に確認した.介護者17人から得た介護体験の内容と認識の肯定的側面は,介護対象者に合った介護方法を習得する,家族・親族からの協力を得る,介護対象者の理解が深まる,介護者自身の意識・行動の変化,家族・親族以外の支援者の支援を得る,介護対象者との人間関係・相互理解が深まる,介護や医療・福祉への関心が高まるという7項目に整理できた.介護対象者に合った介護方法を習得するについては,16人から確認し,その内容は介護の基本に通じるほど豊かなものであった.援助としては,実施介護に込めている考えを問いかけることにより介護者はその意味を意識化できる.そのためには,肯定的側面についての視点をもって家族介護支援に関わることが重要である.

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© 2005 一般社団法人 日本地域看護学会
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