抄録
目的:ケアハウス入居者に対し,介護予防・生活自立支援を目的とした教室による介入を実施し,効果を検証する.対象と方法:対象者はケアハウスの入居者17名である.身体的・精神的・社会的機能に関する調査を行った後,調査結果に基づき立案したプログラムを1回2時間,2週間に1回,連続4カ月間実施した.結果:教室参加前後の変化をみると,教室参加前に比べ教室参加後に,ADLでは,女性でADL-20合計と下位領域のIADLで有意な向上が認められた.また,得点の前後差を比較すると,年齢と下位領域のBADLに有意な正の相関がみられ,要介護認定を受けている者に比べ受けていない者がADL-20合計と下位領域のBADLで有意に高かった.ソーシャルサポートでは,女性で下位領域の受動的(手段的)サポートに有意な向上が認められた.主観的幸福感(PGCモラール・スケール)では,全体で下位領域の老いに対する態度と孤独感・不満足感において有意な向上が認められた.結論:ケアハウス入居者に対する介護予防・生活自立支援を目的とした教室は効果がみられた.また,入居者同士の交流の機会の増加,意欲の向上,個別対応のきっかけづくりとなった.今後,看護職が地域高齢者と同様,ケアハウス入居者にも介護予防活動を展開することの必要性が示唆された.