日本地域看護学会誌
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Print ISSN : 1346-9657
介護保険法施行に伴う保健師活動の変化と課題 : 介護予防に移行する際の留意点
春名 めぐみ村嶋 幸代永田 智子田口 敦子
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2006 年 9 巻 1 号 p. 47-52

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抄録
目的:介護保険導入後の保健師の配置や業務の変化,保健事業への影響を検討し,今後,国の施策の動向が変化する際の保健師活動の留意点を明らかにする.方法:介護保険施行直後の平成13年2月〜3月に全国の政令指定都市・特別区・市の全数,町・村の4分の1を抽出した計1,344市区町村を対象とし,各自治体の老人保健担当課長宛に調査票を郵送した.調査内容は,人口,65歳以上人口割合,保健部門の保健師数,介護保険部門への転出,老人保健事業の業務量と実施状況,老人保健や介護予防への保健師の関与であった.結果と考察:有効回答数は569自治体(回収率42.3%)であった.介護保険導入に伴う保健部門の保健師数は,8割の自治体で増加もしくは変化がなかった.保健師の介護保険部門への転出は,保健部門の保健師数の減少の一因となっていた.保健師数の減少がなくても,事業の見直しにより,訪問事業や機能訓練A型といった保健師が直接行ってきた保健事業の活動が減少していた.健康教育や健康相談への影響は少なく,事業によって影響の受けやすさが異なっていた.介護予防事業について,約7〜8割の自治体で保健師が関わっていたが,企画・運営に比して,評価への関わりが少ないことが今後の課題といえる.結論:介護保険の導入といった大きな制度改正の際には,福祉部門への移行や外部へ委託できる事業に変化が生じやすく,保健師の独自の機能である訪問事業などに影響が及ぶことが明らかとなった.
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© 2006 一般社団法人 日本地域看護学会
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