抄録
目的:対応困難を生じている介護支援専門員に対して保健師が行う支援行為の意図を明らかにすることである.研究方法:NおよびG県内の市町村に所属し,介護支援専門員への支援実績のある保健師17名を対象に,半構成的面接によるインタビュー調査を実施した.対応困難を生じている介護支援専門員に対して保健師が行った支援経過に沿って,支援行為とその意図を聴取し,質的帰納的に分析を行った.結果:保健師の行う介護支援専門員への支援意図は,20カテゴリーが抽出され,それらは「支援の必要性の判断」,「支援の実施」,「支援の評価」,「地域支援体制拡充への発展」の局面に分類された.保健師はそれぞれの局面での判断を組み合わせながら介護支援専門員への支援を行っていた.また「支援の実施」には,介護支援専門員の<ケアマネジメント能力の向上を図る>と<ケアマネジメントを実施しやすくする>という意図があり,双方の側面からの支援行為に結び付けていた.考察:介護支援専門員への支援において保健師は,対応困難の要因を多様な側面から捉え,支援の必要性を判断していた.また,介護支援専門員が質の高いケアマネジメントを実施できるよう促すために,保健師がもつケアマネジメントや家族支援技術を活用していることが明らかになった.さらに介護支援専門員への支援においても,個別の課題を地域の共通課題として取り上げ,地域支援体制拡充への発展を図るという保健師の専門性を活かした意図の特徴がみられた.