日本学級経営学会誌
Online ISSN : 2434-7760
規律の徹底と受容的かかわりが学級経営に及ぼす影響に関する小学校教師への質問紙調査
山田 雅彦
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2019 年 1 巻 p. 25-34

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抄録

本研究の課題は,順調な学級経営のために重要であるとされる生活規律・学習規律の徹底と教師から児童・生徒への受容的・心情的なかかわりが,学級内の人間関係に及ぼす影響を明らかにすることである。小学校教師を対象に質問紙調査を実施し,第1学年から第6学年までの担任学級に関する395人の回答を因子分析した結果,教師が学級経営を理解・評価する観点として,受容的・心情的かかわりに相当する「受容」,生活規律に相当する「しつけ」,教師との節度あるかかわりを含めた学級内の一体感「和やか」,教師同席の場で児童がルールを守る「秩序」の4因子が得られた。互助的行動を下位尺度とする「和やか」を学級経営の目標とする仮説モデルを作成して共分散構造分析を行った結果,「秩序」からのみ,「和やか」への直接の影響の可能性が示された。「受容」から「和やか」へは,「秩序」および「秩序」に影響を及ぼす「しつけ」へのパスを通じた間接的な影響の可能性が示された。「秩序」には「受容」「しつけ」両因子とも正の影響を及ぼしているものの,「しつけ」の方がより強い影響を及ぼしている可能性が示された。これにより,規律の徹底と受容的・心情的かかわりは学級経営に各々独立して影響を及ぼすのではなく,受容は生活規律を介して児童相互の関係に間接的に影響を及ぼしている可能性が示された。

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© 2019 日本学級経営学会
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