抄録
本研究は,小学校の協同学習において,学習課題がグループ成員のグループ学習に対する認知と成員間の相互作用に与える影響を算数科と学級活動の学習を通して検討することを目的とした。調査の結果,児童のグループ学習に対する肯定的認知は,1つの正解が存在する課題である算数科の学習においてよりも,1つの正解や問題を解決するための一定の手順が存在しない課題である学級活動の学習において高かった。また,グループ成員の発話内容の分類から,算数科では,「確認」に対する「応答」といった二者間の発話が多かったのに対して,学級活動では,「意見」や「確認」といったグループ成員全員を含めた発話が多かった。これらのことから,児童によっては単純に発話量やグループ成員に対する貢献度のみによってグループ学習に対して肯定的に認知しているかどうかは判断できないことが示唆された。また,児童の協同学習に対する肯定的認知には児童相互のよりよい相互作用が重要であり,それには,学習課題の影響が大きいことが明らかとなった。