本研究は,学級集団の自治的能力を測定する尺度を開発し,その信頼性と妥当性について検討した。小学校4,5,6年生662 名を対象に質問紙調査を行い,探索的因子分析と確認的因子分析の手順を踏まえて自治的集団尺度を作成した。得られた因子は「協働的問題解決」「秩序」「支持的風土」の3因子 15 項目であった。信頼性については,Cronbach の α 係数を算出した結果,十分な信頼性を有することが示された。また,妥当性については,学級満足度尺度との相関分析を行った結果,中程度の正の関連が認められ,基準関連妥当性が確認された。さらに,下位尺度の協働的問題解決,秩序,支持的風土において,男子の得点に比べて女子の得点が有意に高いことが確認され,学年差については,小学6年生の得点に比べて小学4・5年生の得点が有意に高く,交互作用についても有意であったことから,女子の方が男子よりも学年の上昇に伴う得点の上昇が顕著であることが示された。
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