抄録
本研究は,学級集団のゴール像とされている自治的集団における児童の学級認知について,探索的に検討することを目的とした。自治的集団と見なすことができる学級に対し,学級集団に対する肯定的認知と否定的認知について問う自由記述調査を行った。その結果,学級に対する児童の肯定的認知を示唆した記述は, 「親和的な関係性」「温和な雰囲気」「学級の秩序」 「課題解決志向」「主体的な学習者」の5つのカテゴリーが生成された。また,学級に対する児童の否定的認知を示唆した記述は, 「対人関係上の問題」 「対人技能の課題」「学級の無秩序」の3つのカテゴリーが生成された。これらを踏まえ,研究者や教員にとって理想像と称されている自治的集団においても否定的な認知や不適応感を抱く児童が一定数存在するということが明らかとなった。