抄録
本研究は,学級経営の定義について,これまで行われてきた定義を抽出,分析することで,学級経営の定義にはどんな構成要素が必要であるかを検討し,より広い共通認識とできるような定義づけを行うことが目的である。国立教育大学附属図書館で閲覧可能であった学級経営を題名に冠する書籍や学級経営がタイトルに含まれる論文を概観し,これまでの学級経営の定義を抽出した。抽出した 74 の定義に対してオープン・コーディングを用いて分析を行った。分類した結果,大カテゴリー3個,中カテゴリー7個,小カテゴリー19 個を抽出した。それぞれのカテゴリーから定義の構成要素を見出し,それぞれについてどのような文言を採用するか,これまでの研究から検討し,現時点における定義づけを行った。また,今回の定義づけについて現職教員に対してアンケートを実施し,妥当性や実践への適応性を検討した。結果,学級経営の主体を学級担任とする文言に対する意見が多く見られ,また実践への適応性に対する肯定的な意見も少なかった。しかし,定義について同意できるかの設問に対しては肯定的な意見が8割を超えており,現職教員からの一定の理解が示された。