抄録
本研究は,現代における学級経営の概念を経験論の視点から整理することが目的である。現職教員に学級経営に関するアンケートを行い,その記述回答をオープン・コーディングと焦点的コーディングから成る帰納的なアプローチにより,分析を行った。分析の抽出した結果,学級経営の概念として5つのカテゴリー①学級集団の形成と発達,②教師の具体的な役割と働きかけ,③学級の環境整備,④活動範囲と内容,⑤人間関係の構築と維持が抽出された。また小学校教員と中学校・高等学校の教員それぞれで分析したところ,校種によって学級経営の概念に共通点や相違点が見出された。それらを概念化した結果,小学校教員は学級経営の捉えとして「学級の環境整備」「学級集団の形成と発達」が特徴的な概念であり,中学校・高等学校の教員は「学級の環境整備に関すること」「学級集団の形成と発達に関すること」を念頭に置いた「教師の具体的な役割と働きかけ」が特徴的な概念であると示された。共通点としては,学級経営の前提となる教育哲学の「学級集団の形成と発達に関すること」「学級の環境整備に関すること」の2つの項目がどちらも有意に多いことである。これらのことから現代における学級経営の概念には5つの要素があり,学級経営の前提となる教育哲学の部分では共通しているものの,校種によっては学級経営の概念として相違点があることが明らかになった。