抄録
本研究は,中学校学級担任教師の組織への貢献行動が学校改善に及ぼす影響について,貢献行動の自己評価と組織内評価の観点から調べることを目的としている。まず,学級担任教師の組織への貢献行動の傾向として,組織への貢献行動の P 機能は自己評価が他者評価よりも有意に低く,M 機能は差が見られなかった。これは,P 機能について,組織への貢献行動を謙虚に捉える傾向があるためだと推察された。次に,組織への貢献行動と学校改善との相関関係や影響関係を検討すると,自己評価より組織内評価の妥当性が高いとの結論を得た。貢献行動の学校改善への影響を調べると,「協働性」には「協力」,「創造性」には「リード」「向上心」「協力」,「専門性」には「リード」「向上心」「連携」,「効率性」には「向上心」「協力」が影響を与えていることが明らかになった。これらの分析により,学級担任教師等の意識をどのように理解し,どのような組織への貢献行動を期待して学校改善を進めていくかについて,一つの視点を示すことができた。