学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
各学校種の教師がグループ学習に抱くイメージの差異に関する研究
遠田 将大
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2022 年 11 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
本研究では,対話的な学びが再開された場合に備え,主体的・対話的で深い学びに準拠した授業を実施している小学校,中学校,高校の教師がグループ学習にどのようなイメージを抱いているのか,その差異について検討した。また,グループ学習時の問題状況の経験についても尋ね,グループ学習に抱くイメージと問題状況の経験との関連から考察を行った。対象教師 255 名に質問紙調査を行った結果,小学校教師は中学校教師よりグループ学習に肯定的なイメージを抱いており,中学校教師は小学校教師よりグループ学習に懐疑的あるいは否定的なイメージを抱いていた。高校教師は他学校種の教師と比べて有意差は認められなかった。小学校教師がグループ学習に肯定的なイメージを抱くのは,中学校教師よりグループ学習時の問題状況の経験が少なかったためと考えられた。一方,中学校教師は小学校教師よりグループ学習時に問題状況を多く経験していたためにグループ学習に懐疑的あるいは否定的なイメージを抱いたと考えられた。なお,高校教師に有意差が認められなかったのは,大学進学率などといった点でみると特徴が異なる高校を合わせて分析したためと考えられた。以上のことをふまえて,今後の課題についての議論がなされた。
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© 2022 日本学級経営心理学会
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