抄録
学級担任制度をとる小学校の学級担任を対象にして,学級集団づくりに困難さを感じている教員たち,良好に展開できている教員たちに半構造化面接を行い,学級集団づくりのプロセスのどこにつまずいているのか,うまくいっている要因は何かを抽出して,Zimmerman (1998) の「初歩と上達した自己調整学習者の自己調整の下位過程の比較」を参考に,学級集団づくりのつまずき,学級集団づくりのポイントを明らかにすることを目的とした。なお,自己調整とは,教育目標の到達を目指す自己調整された思考,感情,行為のことをいい(Zimmerman et a1.,1996),本研究においては,学習者は学級担任であり,学習は年間の学級集団づくりの取組である。結果,学級集団づくりが良好に展開できている教員たち(Aタイプ)と,学級集団づくりに困難さを感じている教員たち(Bタイプ)には①予見段階,②遂行段階,③自己内省段階3つの段階における自己調整学習の仕方に明確に相違が認められた。