抄録
本研究は,教員の指導行動を行使する中でのユーモアの表出度と中学校生徒の学級生活での適応や意欲などの面との関連を検討することを目的とした。具体的には,教員のユーモア行動測定尺度(河村・武蔵・河村,2015)を用い,中学校生徒が認知する教員のユーモア表出の3つのタイプごとに,生徒の学級満足度やスクール・モラールとの関連を実証的に検討した。さらに,学級集団の状態ごとに,所属している生徒たちが認知している担任教員のユーモア表出の特徴について実証的に検討した。対象は,公立中学校3校31学級796名(男子413名,女子383名)である。結果,教員の「楽しさ喚起ユーモア」と「元気づけユーモア」は,スクール・モラールが高いH群において最も得点が高く,L群において最も得点が低かった。また,「親和的でまとまりのある学級集団(満足型)」では「荒れのみられる学級集団(荒れ始め型)」と比較して有意に教員の「楽しさ喚起ユーモア」と「元気づけユーモア」が高く認知されていることが明らかになった。