学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
小学校教員の自主・向上性の高さと児童の学級の適応感との関連の検討
森永 秀典森 俊博
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2017 年 6 巻 2 号 p. 91-99

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抄録

本研究では,小学校教員の自主・向上性の高さと,児童の学級の適応感との関連を検討することを目的として,A小学校35名の教員を対象にアンケート調査を行い,教員の自主・向上性得点をもとに高群と低群に分け,各群の児童の学級の適応感を比較した。分析の結果,自主・向上性高群の教員の担任する学級は,1学期から3学期にかけて,「学級生活満足群」の人数が増加し,「非承認群」と「学級生活不満足群」の人数が減少していることが明らかになった。自主・向上性低群では,学期ごとの人数の差はみられなかった。また,学校生活意欲尺度において,自主・向上性高群の教員の担任する学級は,「友達関係」得点は,学期の経過とともに増加していくこと,「友達関係」得点と,「学級の雰囲気」得点に関しては,自主・向上性高群の教員の担任する学級は自主・向上性低群の教員の学級と比べて高いことが明らかになった。また「学習意欲」得点に関しては,自主・向上性高群が低群に比べて高いだけでなく,高群は2学期から3学期にかけて上昇,低群は1学期から2学期にかけて低下する傾向にあることが明らかになった。以上の結果から,自主・向上性の高い教員の担任する学級の児童は自主・向上性の低い教員の担任する学級に比べて学級への適応感が高い状況にあることが示された。

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© 2017 日本学級経営心理学会
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