本研究では,小学校通常学級において,学級状態の違いによって特別支援対象児の学級適応感に差異があるのかを,非対象児との比較を通して明らかにすることを目的とした。公立小学校に通う42校218学級の4~6年生4,908名を対象に調査をしたところ,特別支援教育の対象児299人と非対象児4,482人の有効回答が得られた。学級満足度尺度を用いて学級状態を類型化し,類型ごとの学級適応感について学校生活意欲(スクールモラール)尺度を用いて測定した。特別支援対象児と非対象児の学校生活意欲を比較検討した結果,類型ごとの学級適応感に違いが認められた。非対象児にとっては学級適応感が低い「管理型学級」が,特別支援対象児にとっては比較的高いという結果から,特別支援対象児の在籍する学級では,ルールやマナーの確立を優先する学級経営の方針が有効であると考えられた。