抄録
本研究では,学級生活志向性尺度を作成し,その信頼性と妥当性を調査した。小学生が自分の所属する学級集団の中でどのように生活していきたいのかについて尋ねる質問紙を用いて,小学校5・6年生644名を対象に質問紙調査を行い,学級生活志向性尺度を作成した。得られた因子は「他者重視」,「先生重視」,「自分重視」,「楽しさ重視」,「親友重視」と命名された。信頼性は,内的整合性によって確認された。妥当性に関しては,学級風土と関連が見られたことによって支持された。また,性差を検討したところ,「他者重視」について男子より女子の下位尺度得点が有意に高く,「自分重視」「楽しさ重視」について女子より男子の下位尺度得点が有意に高かった。さらに学年差を検討したところ,「他者重視」「先生重視」について6年生より5年生の下位尺度得点が有意に高く,「楽しさ重視」について5年生より6年生の下位尺度得点が有意に高かった。