学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
学級活動における児童の役割とエンゲージメントの関連
─小学校低学年と高学年の事例検討を通して─
隂 菜穂子津中 友里菜若松 美沙若松 昭彦
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2020 年 9 巻 p. 61-73

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抄録

本研究の目的は,学級活動における児童の役割と,探究的な学びの姿につながる概念であるエンゲージメントとの関連について,事例を用いて検討することであった。小学校2年生2名と6年生2名の計4名の児童を対象に,話合い活動およびその後の実践で構成される学級活動での言動をエンゲージメントの3側面(行動的側面,感情的側面,認知的側面)から分析した。その結果,2年生の事例からは,話合い活動において黒板記録や司会といった司会グループとしての役割を経験することで,行動的側面および認知的側面のエンゲージメントが発現することが示された。また,6年生の事例からは,話合い活動やその後の実践での役割を経験することで,1年生に対する役割への専念,学校行事に対する目的の自覚といった行動的側面のエンゲージメントや,よりよい意見を考えることを意識した認知的側面のエンゲージメントが発現することが示された。これらの事例から,学級活動における児童の役割とエンゲージメントの発現が関連している可能性が示唆された。

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© 2020 日本学級経営心理学会
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