2020 年 9 巻 p. 7-17
本研究では,通常学級においてインクルーシブ教育への対応が求められるようになった現在,インクルーシブ教育にマッチした学級経営に必要な教師の指導行動を明らかにし,学級経営の指針を得るために教師の自己評定による「インクルーシブ指導行動自己評定尺度」を作成することを目的とする。聞き取り調査により得られた指導行動を基に作成した原尺度を公立小学校の学級担任教師528名を対象に調査したところ,520名から有効回答が得られた。因子分析の結果,3因子12項目の尺度が作成され,信頼性,妥当性の確認がなされた。インクルーシブな指導行動として,「全体対応」,「架け橋対応」,「個別対応」の3つの指導行動が明らかとなり,その発揮には,教師の経験と知識理解の程度が関連していることが示された。