学術情報処理研究
Online ISSN : 2433-7595
Print ISSN : 1343-2915
原著論文
数値計算ライブラリの自動選択システムについて
和田武保田貴史野田松太郎
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1997 年 1 巻 1 号 p. 3-15

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抄録

総合情報処理センター等の大型計算機を核とする学内共同利用センターの役割も情報時代の進展とともに変質しつつある。一部にはネットワークセンター化を目指す方向もあるが、逆に利用者の拡大および数値計算ライブラリを含む大量のソフトウェアの出現により、利用者に対して適切な計算技術の支援を行い得るシステム開発の重要性がある。そこで、浮動小数計算による誤差や解法アルゴリズムの特性のため、場合によっては全く信頼できない結果を生じる可能性がある数値計算ライブラリの使用時に、複数の使用可能アルゴリズム中から、問題に適合し、安定した結果を生じるアルゴリズムを自動的に選択するしくみが必要と考える。本論では、与えた問題の性質を自動的に判定し、適切なアルゴリズムを選択し、かつその計算実行までもを行い得るような利用者支援システムの開発を行う。具体的には解きにくい問題の例として硬い常微分方程式の数値解法を考え、硬さの度合い(スティッフ率)を数式処理システムを利用して計算し、データベースに格納されたアルゴリズム中から適切なものを選択・実行するようにした。ユーザインターフェースを簡便にするため、Netscape NavigatorなどのWebブラウザでのシステムの利用を可能とした。実際のシステム動作を広く使用されている数値計算アルゴリズムSSL-IIを対象として示した。

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© 1997 学術情報処理研究編集委員会
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