本論文では,発達障害学生の修学支援として,ネットワークを用いた遠隔講義を実施した例を紹介する.近年,本学でも発達障害学生の存在が明らかになっており,その対策が急務となっている.支援の根拠としては「発達障害者支援法(平成16年法律第167号)」があり,大学は積極的に修学支援を実施していかなければならないとされている.これらの学生は,障害に起因したさまざまな問題により,通常の講義への出席が困難となり大学生活に問題を抱えていることが多い.一方で,特定の分野においては極めて高い能力を発揮することが知られている.本論文では,発達障害学生の修学支援を目的とした遠隔講義の実施について,その手法と効果について述べる.また,遠隔講義を行うに当たって生じた,機材の選定やネットワーク,現場での運用の問題についても述べる。