2019 年 23 巻 1 号 p. 57-66
富山大学は五福・杉谷・高岡の3つのキャンパスを持つ.2018年に始まった教養教育改革では,これまでキャンパスごとに行っていた教養教育の授業が,五福キャンパスでの実施に一元化された.初年次に必修である情報処理科目は,教室設備の関係で各キャンパスでの実施だが,6学部を擁する五福キャンパスでは,文系学部・理系学部ごとに学部混成クラスでの授業を行っている.こうした状況を受け,以下の2点に着目して,情報処理科目のカリキュラムおよび教材の再構築を行った.(1)従来は各担当教員が独自に行っていた授業の内容を統一し,どのクラスにおいても同じ内容の授業にする.(2)情報機器やアプリケーションの操作方法を修得するだけでなく,それらを使って行う数値データ整理・文書作成・プレゼンテーションの「アカデミック・スキル」修得を目指す.本稿では,富山大学における情報処理科目再構築の取組について報告し,その実施に伴う問題点・課題について考察を行う.但し,授業目標の達成やその効果については,今後さらに研究すべき課題である.