2020 年 24 巻 1 号 p. 1-9
対象の小中学校が既設地域ネットワーク網を経由してSINETに接続することを通じ,初等中等教育機関の高速ネットワーク環境を構築する際の問題点やその解決方法について検証した。SINET接続においては,①SINETノードDCへの接続回線の確保,②IP Addressの取得と維持,③SINETへの接続用ネットワーク機材の設置・構築・維持が課題となることを明らかにし,既存地域ネットワーク網が有するグローバルIP Addressを用いたSINET接続を提案した。SINET接続前後における回線速度を比較した結果,SINET接続による高速ネットワーク環境は遠隔授業時の通信途絶や音声・映像の遅延頻度を大幅に改善させた。しかし,UTM装置や校内ネットワーク環境などに課題があり,SINETの高速・広帯域な特長を最大限活用するためには,上流層のネットワーク環境の改善だけではなく,自治体や学校内のインフラ整備の重要性が浮き彫りになった。