2022 年 26 巻 1 号 p. 87-96
近年,学術研究がますます広域化・グローバル化する傾向にある.さらに,様々な科学分野で高性能データ分析の利活用に対する関心と期待が急速に高まりつつある.このような背景から,大学,学術研究機関,企業の研究者らがデータを移動・共有しつつ,共同研究,産学共創を高効率に推進することを可能にするデータ基盤の必要性・重要性が高まっている.大阪大学サイバーメディアセンターでは,このような視点から,2021年5月のスーパーコンピュータSQUID導入に合わせ,データ集約基盤ONIONの試験運用を開始した.本稿では,われわれがどのような考えに基づきONIONを着想・構想したのかとともに,ONIONの概要を概説する.その後,ONIONで想定するユースケースについて検証を行う.