2024 年 28 巻 1 号 p. 137-147
名古屋工業大学サイバーセキュリティセンターでは,計算機のOSとアプリのバージョンの更新の要否をセキュリティ情報として計算機の利用者と管理者に提供して,その更新を支援するためのセキュリティ情報管理システムを構築している.本システムは,Microsoft Defender for EndpointのAdvanced Huntingで取得した計算機のOSのバージョンや脆弱性を有した状態で使用を続けた場合にリスクが大きいと判断したアプリのリストから作成したセキュリティ情報を本学で管理する計算機が登録されているMAINSデータベース上でユーザに提供する.構築したシステムを利用してバージョン更新状況の傾向を分析したところ,Windows OSは新しいバージョンのリリースにあわせて比較的速やかに更新されている一方で,macOSの更新には一か月程度要している様子を確認できた.また,Webブラウザのような多くのユーザが日常的に利用しているアプリの更新が実施されている一方で,リモートデスクトップなどの特別な用途のアプリの更新が実施されていない状況を確認した.