2024 年 28 巻 1 号 p. 76-86
本学では長年に渡って独自改修を施したベンダー製ID管理システムを用いてきた.これを2022年度の第11世代情報基盤計算機システム(System11)への更新に伴ってOSSのID管理システムであるmidPointを中心としたシステムとして再構築した.本学では学籍・職籍に応じて付与されるアカウント(CISアカウント)と個人に対して一意に付与される生涯IDに紐付くアカウント(KITアカウント)の2系統のアカウントを発行管理しており,汎用のID管理システムで同等の仕組みを実現することが再構築における大きな課題であった.再構築にあたって既存システムの運用で生じていた問題をアカウントのライフサイクル全体にわたって分析した結果,ID管理モデルにまで遡ってシステムを再設計するのが適切であると判断し,人事・教務システム等の源泉データに基づいてアカウントの発行管理を行うシステムを利用者原簿管理システムとして内製した.本論文では既存システムで生じていた問題の分析に基づいて考案したID管理モデルと,そのID管理モデルを実現する利用者原簿管理システムの設計と実装について述べる.