抄録
本研究は,学部公認心理師科目「心理実習」を受講した学生の学びの内容と成長のプロセスについて検討することを目的とした。A大学の心理実習の受講生8名(男性1名,女性7名)を対象に半構造化面接によるインタビュー調査を行った。インタビューの逐語記録を,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)に基づき分析した結果,42の概念が得られ,それらは,9つの小カテゴリーと3つの大カテゴリーにまとめられた。また,カテゴリー間の関係性を検討しモデル化した。その結果,心理実習を通して,対人支援の基本的態度のような【関与に基づく体験的学び】と臨床現場における心理職としての役割や視点などに関する【既存の知識が具体化される学び】が得られた。また,【関与に基づく体験的学び】の一部が参照されて,【既存の知識が具体化される学び】が進むことが示された。そして,それらの学びが,自身の課題やキャリア意識などに対する【自己理解の深まりと意識の変容】を促すことが示唆された。