抄録
本研究では,児童家庭支援センター(以下,センター)の運営方針,地域における支援のあり方,他機関連携,対応方法に関する職員の意識や心がけを通して,センターの専門性や役割を明確にすることを試みる。全国の32のセンターの職員に対して,対面とオンラインを併用して60分程度の聞き取り調査を実施した。上記で掲げた4つの点に関する語りを抽出し,類似性に基づき,語りをカテゴリ,大カテゴリに分類し,大カテゴリ間の関連性を検討した。分析の結果,《センターが専門的な相談支援を担う役割をもつという意識》という運営方針があることで,それを《地域における支援の“足らず”を補う》という,地域における支援のあり方へと具体化することができ,地域における支援のあり方を実現するための手段として,《他機関との綿密な連携構築の心がけ》《専門性を活かした相談員と心理士の柔軟な相談対応》《保護者や子どもの立場を尊重した相談対応》を試みているという流れがあることが示された。センター職員の意識や心がけに着目することによって,各センターが地域において担うべき専門的な役割を明確にするための1つの材料を提供できると考えられる。