日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
白血病の化学療法中に発生した肺ムコール症の一例
菊地 柳太郎磯和 理貴
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2005 年 19 巻 1 号 p. 60-65

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抄録
症例は39歳女性. 2003年5月末より月経過多・点状出血が出現し, 6月5日当院内科を受診した. 末梢血中に多量の芽球を認め, 骨髄穿刺にて急性リンパ球性白血病と診断された. 6月11日よりJALSG-ALL97による寛解導入療法を施行され, 完全寛解となった. 化学療法中より微熱があり, 7月3日の胸部レントゲン写真で右下葉浸潤影を認め, CZOP・MCFG・CFPM・MEPM・FLCZで加療されたが, 症状は改善しなかった. 7月11日のレントゲン・胸部CTでは右下葉に空洞形成を認め, 肺アスペルギルス症が疑われ, 7月12日よりITCZ内服を開始した. 7月22日に気管支鏡検査を施行したが, 確定診断に至らず, 画像上陰影の改善に乏しいため, 7月31日に診断・治療目的で右下葉切除を行った. 術後病理で侵襲性肺ムコール症と判明した. 術後経過は良好で, ITCZ内服を継続しつつ8月20日より地固め化学療法を開始した.
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