日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
後縦隔に発生した多形性平滑筋肉腫の一例
安彦 智博佐藤 征二郎二俣 健加藤 良一
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 19 巻 7 号 p. 819-822

詳細
抄録

患者は70歳の男性. 健診で胸部CT上異常陰影を指摘され紹介入院となった. 胸部CTで後縦隔に気管分岐部を上縁とする長径6.5cm大の境界明瞭, 内部やや不均一な腫瘤性病変を認め, 胸椎, 食道, および下行大動脈と接していた. 後縦隔原発の腫瘍を疑い腫瘍摘出術を施行した. 胸腔鏡下に手術を開始した. 腫瘤は表面平滑, 弾性硬で, 下行大動脈および食道への浸潤はなく容易に剥離できたが, 胸椎前面に強く固定していた. 胸腔鏡下の剥離は困難と考え開胸下に摘出した. 病理標本では紡錘形細胞, 胞体の広い多角形細胞, および多形細胞など多彩な細胞が混在する所見が得られ, 免疫組織化学ではsmooth muscle actin (-), Desmin (focally +), α1-antitripsin (+) な多形細胞も認められたが, 紡錘形細胞や多角形細胞など大多数はα-smooth muscle actin (+), desmin (+), myoglobin (-), S-100 (-) であることから低分化な多形性平滑筋肉腫と診断した. 縦隔原発の平滑筋肉腫は検索しえた限り, 本邦で15例目であり稀な疾患であると考えられた.

著者関連情報
© 2005 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top