抄録
若年型重症筋無力症(juvenile myasthenia gravis, JMG)発症後,predonisolone (PSL)長期投与による成長障害となり,13歳時のExtended Thymectomy (ET)施行後,JMGの症状が安定した症例を報告する.1歳6ヵ月時JMG発症,4歳時PSL開始.9歳頃から身長,体重が-2SD以下となりPSL長期投与による成長障害と診断した.13歳時CTで胸腺肥大を認めET施行,病理診で胸腺過形成と診断した.ET後PSLは減量,血清抗アセチルコリンレセプター(AChR)抗体は陰性化,JMG症状は安定化した.MGの治療ガイドラインは12歳以上をETの適応としている.胸腺肥大を伴う抗AChR抗体陽性例で,PSL長期投与が予想される場合,JMGの治療とPSL長期投与による成長障害の予防目的で,12歳以下でのETの適応も今後検討する必要があると考えられた.