日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
胸部外傷に対する胸腔鏡下手術
米谷 文雄大岩 加奈中川 知己増田 良太井上 芳正西海 昇岩崎 正之井上 宏司
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2006 年 20 巻 5 号 p. 715-718

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抄録
我々は1994年より胸部外傷に対して積極的に胸腔鏡下手術を行ってきた.2005年6月まで34件の胸部外傷に対し胸腔鏡下手術を行った.年令は6から90歳(平均40.7歳),受傷原因は刺創21例,交通外傷11例,転落外傷2例であった.34例中2例は出血コントロール不良のため,標準開胸に切りかえた.胸腔鏡下手術を完遂できた32例の術式は,部分切除14例,止血7例,肺縫合もしくは修復術5例,審査胸腔鏡5例,気管支縫合術1例であった.鈍的外傷では(1)横隔膜破裂,血管損傷に対する審査胸腔鏡(2)持続する胸腔内気瘻(3)6時間で500ml以上の血胸,鋭的外傷では(1)刺創(2)汚染に対する胸腔洗浄,を手術適応とした.胸部外傷に対する手術療法はあくまで緊急開胸手術が主体であるが,その中に胸腔鏡下手術でも充分対応できる症例は存在する.
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© 2006 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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