抄録
症例は74歳,男性.肺癌の診断にて,胸腔鏡下左肺下葉切除術を施行し,術後経過は順調であった.術後11日目にドレーン抜管部の抜糸を行ったところ,同部が〓開し,その後,発熱・左胸水の貯留を認め,MRSA膿胸と診断した.胸腔ドレナージを行い,保存的に治療を行ったが改善しないため,術後25日目に再手術を行った.手術は胸腔鏡下に,多房化した膿胸腔を単一腔とし,洗浄した後,ドレーンを留置した.術後は,速やかに膿胸腔の縮小化が得られ,10日目にドレーンを抜去した.肺葉切除術後の急性膿胸に対する外科治療として,胸腔鏡下手術は低侵襲性に優れ有効な方法と考えられる.