日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
右肺中下葉切除後に発生したいわゆる肺摘除後症候群に対してMediastinal Repositioningを行った一例
阪口 全宏中村 憲二大森 謙一竹内 幸康
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2006 年 20 巻 6 号 p. 864-869

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抄録
右肺中下葉切除後に肺摘除後症候群の病態を呈した症例を経験した.症例は73歳女性.肺結核・アスペルギルス症で右肺中下葉切除術を受け,約4年後より呼吸困難が出現した.胸部X線写真,CTおよび気管支鏡で左主気管支の狭窄を認め,呼吸機能検査でも上気道狭窄の所見がみられた.偏位した縦隔の器官を授動した後,傍胸骨前胸壁裏面に縫合固定した(mediastinal repositioning).さらに,補正後の位置を保つために肋骨骨膜と肋間筋を剥離し,その外側にexpandable prosthesisの骨膜外充填をおこない,生理的食塩水を満たした.その結果,気管支の狭窄と症状および呼吸機能の改善が認められた.術後,prosthesis周囲感染を併発し,摘出術を要したが,改善した呼吸機能は3年経過後も維持されており,本術式が有効であったと考えられた.
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