日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
高CEA血症を伴い原発巣同定に7年,術後再発巣同定に7年を要した肺癌の1例
倉橋 康典平井 隆岡本 卓山中 晃
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2006 年 20 巻 7 号 p. 951-954

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抄録

症例は56歳男性.1990年の検診でCEA(carcinoembryonic antigen)高値(7.3ng/ml,正常値<5)を指摘された.経時的に上昇するため繰り返し精査を行うも原発巣は同定できなかった.1997年にCEA 237.9ng/mlにて当院紹介となり,CTで右S3bに径1cmの結節と縦隔リンパ節腫脹を認めた.開胸術を行い,術中迅速で腺癌と診断し,右肺上葉切除術及び縦隔リンパ節郭清を施行した(pT1N2M0).術後6.5ng/mlまで低下したCEAが翌年から再上昇,経時的に上昇するため,FDG-PETを含めた精査を繰り返すも再発・転移は指摘できなかった.2004年にCEAは874ng/mlまで上昇した.FDG-PETにて右仙腸関節に淡い集積を認め,生検にて骨転移と診断した.高CEA血症を伴い精査を繰り返すも長期間にわたり原発巣・転移巣を同定できなかった肺癌症例を経験したので報告する.

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