日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸腔全体を占拠した巨大粘液型悪性線維性組織球腫に対して胸膜肺全摘術を施行した1例
三浦 奈央子塚本 修一石田 照佳
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2007 年 21 巻 1 号 p. 76-79

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抄録
症例は51歳,男性.高度呼吸困難(Hugh-Jones分類IV度)が生じたため近医受診.胸部レントゲン・CTにて右胸腔を全て占める巨大な腫瘍を認め,精査加療目的に当院紹介となった.CTガイド下生検にて軟骨肉腫が疑われ,手術施行となった.手術は仰臥位にて,胸骨正中切開に右前側方切開を加え,第4肋間開胸で行った.腫瘍はゼラチン状で黄色調を呈しており,胸膜肺全摘術施行した.腫瘍総重量は8kgで,病理学的検査では粘液型悪性線維性組織球腫と診断された.術後,呼吸困難は改善(Hugh-Jones分類I度)し,経過良好にて自宅退院となった.現在明らかな再発は認められていない.胸腔を全て占拠するほどの粘液型悪性線維性組織球腫は非常に稀であり,若干の文献的考察を含め報告する.
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